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2016年11月01日  農民美術

農民美術のあゆみ

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農民美術はその名の通り、農家の副業に由来する手仕事の工芸品。明治、大正、昭和にかけて活躍した洋画家 山本鼎(1882~1946)が提唱した美術運動に端を発します。

東京美術学校(現東京芸術大学)を首席で卒業後、欧州各地で農民の手になるさまざまな美術工芸品にふれた山本は、帰国後、美術教師として赴任した小県郡神川村(現在の上田市)で、周辺農家の青年たちに手工芸品づくりを指導し、注目されました。

山本は1923(大正12)年、上田に日本農民美術研究所を設立。木彫、織物、ホームスパン、竹細工、白樺細工等さまざまな工芸品を手がけます。自ら各地へ趣く山本の精力的な指導により、農民美術は全国に普及していき、各地の伝統工芸品の基礎を築きます。

「農民美術」自体は、戦後、上田、小県地方を中心とする信州の木彫工芸品の固有名詞として定着しました。専業化が進み、作家が誕生。1970年代には若手作家の育成も盛んにおこなわれ、信州らしさが香るさまざまな作品が世に送り出されました。

当店では、素朴な意匠のなかに作家の丹精と技術が息づく農民美術作品の数々を販売しています。現代の生活空間に、ぬくもりと安らぎを添える一品を、ぜひ手にとってご覧ください。

画像は農民美術作家 初代 中村實(1894〜1977)作の「あざみの額」。
当店のために制作していただきました。